— わからなかった私のための工業数学(001) —
これから、ロードマップに沿って工業数学を学び直していきます。
中心は0〜9、10(確率・統計)は並行して学べる独立系統、11・12と応用分野は9の後に進みます。前に学んだ内容が、次の道具になります。

0. 予備知識
式変形・指数/対数・三角関数・複素数
微分方程式では$e^{\lambda t}$、フーリエ解析では$e^{i\omega t}$が現れます。オイラーの公式$e^{i\theta}=\cos\theta+i\sin\theta$によって、これらはつながります。
1. 線形代数
ベクトル、行列、固有値、固有ベクトルを扱います。工学では複数の量をまとめて扱い、変位をベクトル$x$、係数を行列$A$として$Ax=b$と書けます。振動では$Kv=\omega^2Mv$という固有値問題が現れます。熱・流体・制御でも使う共通言語です。
2. 微分積分(1変数)
位置$x(t)$に対して、$x'(t)$は速度、$x”(t)$は加速度です。積分は小さな量を積み重ねる考え方で、速度を時間積分すれば変位、分布荷重を位置について積分すれば合力になります。
3. 多変数微積分+ベクトル解析
1変数の微積分を複数の変数へ広げます。温度$T(x,y,z,t)$のような量には偏微分が必要です。さらに勾配、発散、回転を学び、流体、熱、電磁気など空間に広がる量を扱います。偏微分方程式へ直接つながります。
4. 常微分方程式
未知の関数と、その微分の関係を表します。機械振動の代表例は$m x”+c x’+k x=f(t)$です。$m$は質量、$c$は減衰、$k$はばね定数、$f(t)$は外力です。この式から自由振動、減衰振動、強制振動、共振を扱えます。
最初の大きな到達点
4番までを終えた時点
多自由度系では$Mx”+Cx’+Kx=f(t)$となり、線形代数と微分方程式が結びつきます。自由振動では$Kv=\omega^2Mv$となり、固有値$\lambda=\omega^2$から固有振動数、固有ベクトルから振動モードを求めます。
5. 数値解析①
常微分方程式の数値解法
解析的に解けない常微分方程式を、オイラー法やルンゲ・クッタ法で近似的に解きます。刻み幅、離散化誤差、丸め誤差、安定性、収束も扱います。
6. フーリエ解析
複雑な波を、異なる周波数を持つ単純な波の重ね合わせとして考えます。時間領域から周波数領域へ見方を変え、振動、音響、信号処理、波動に利用します。FFTによる測定データの周波数分析にもつながります。
7. ラプラス変換
$m x”+c x’+k x=f(t)$を変換すると、微分を含まない代数式として扱えます。初期値問題、過渡応答、ステップ応答、インパルス応答が扱いやすくなります。制御工学では入力と出力の関係を伝達関数$G(s)$で表します。
8. 偏微分方程式
ここまで扱った常微分方程式では、主に時間の変化を扱いました。偏微分方程式では、位置と時間で変化する温度、速度、応力などを扱います。代表例は熱方程式、波動方程式、ラプラス方程式、ポアソン方程式です。熱伝導、弾性体、流体、波動につながります。
9. 数値解析②
偏微分方程式の数値解法(FDM・FEM)
偏微分方程式では空間を分割して数値的に解きます。代表はFDM(有限差分法)とFEM(有限要素法)です。FEMでは$Ku=f$という大規模な連立一次方程式が現れます。メッシュ、境界条件、収束、数値誤差も扱います。
10. 確率・統計
確率 → 確率分布 → 統計
検定・回帰 → 実験計画法・品質管理
材料強度、寸法、センサノイズ、実験結果などのばらつきを扱います。確率、確率分布、期待値、分散から、推定、検定、回帰、実験計画法、品質管理へ進みます。
11. 最適化
条件を満たす中で最も良いものを探します。質量、強度、変位、コストなどを目的関数や制約条件として扱い、線形代数、多変数微積分、数値解析を組み合わせます。設計最適化、構造最適化、制御につながります。
12. テンソル・連続体力学の数学
固体や流体では、応力やひずみのようにスカラーやベクトルだけでは表せない量が現れます。そこでテンソル、応力テンソル、ひずみテンソル、構成則を学びます。線形代数、多変数微積分、ベクトル解析、偏微分方程式とつながり、連続体力学やFEM理論の理解に使います。
応用分野
FEM・振動・制御・熱・流体
振動、制御、熱、流体、FEMでは、これまでの線形代数、微分方程式、解析、数値計算を組み合わせて使います。

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